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*** *** 『地名からたどる創作民話』は、かなり以前に、 自らの頭の柔軟性を確かめるため、 「地形図からひろった、おもしろそうな地名から民話風な話を作る」 ということを課題として書きはじめたものです。 すでにHPにも『地名からたどる創作民話』として掲載していますが、 今回、思い立って手直しを始めたものです。 興味がありましたらどうぞ! そうそう、現地に行っても、このような言い伝え、 民話が存在しないことをお断りしておきます。 *** *** *** 「山姥の赤子」 (やまんばのあかご) (地名からたどる創作民話 大分県)*** むかしむかし、紀伊の国(きい:いまのわかやまけん)の山おくに、 頭といわず、足といわず、 どこまでも大きな山姥(やまんば)がすんでいたんだと。 山姥(やまんば)のすみかは、ふかい森のまもり神(かみ)のような 大木(たいぼく)にあいた"うろ(あな)"にあってな、 ひとりさびしくすんでいたそうな。 それでも、ときには、村人や木こりが道にまよって、 ちかくにくることがあったから、 山姥はそれをおどろかすのを、いちばんのたのしみにしていたそうな。 その山姥(やまんば)がすむ、ふかい山からくだったさとには、 とても子どもがたくさんいる、にぎやかな村があっての、 村人はしあわせにくらしていたんだと。 さとの村人が、なぜ、子どもにめぐまれていたのかというとな。 村のはずれに、小さなほこらがあっての、 そのうらには、これも小さなどうくつがあっての、 ここをくぐると子どもにめぐまれるという、いいつたえがあったそうな。 この村のよめっこは、一人のこらず、このどうくつをくぐっては、 そばにあるほこらでおねがいをした。もちろん、どうくつもくぐった。 するとな、どのよめっこもたくさんの子どもにめぐまれての、 おかげで、この村はいつもにぎやかであったと。 あるとき、山にまよいこんできた村人から、 この話をきいた山姥(やまんば)は、 「おらも、赤子(あかご)がほしいな」と、思うようになったんだと。 そして、ある日のことじゃった。 山をおりて、ねがいことをしようと、その小さなほこらのうらにある、 どうくつに入ろうとしたそうな。 ところが、山姥の体は大きくての、どうくつには体どころか、 頭さえも入れなかったんだと。 それでも赤子(あかご)がどうしてもほしい山姥はの、 ほこらの前であたまをさげ、体をちょっと小さくして、 大―きな声でおねがいしたそうな。 「ほこらのかみさま! どうぞ私にも赤子をさずけて下さい、 おねがいしますだ!」 そうすると、ほこらの中から、かみさまの声がきこえてきたと。 「山姥よ、どうしても赤子がほしのか?」 「はい、かみさま、どうしても、かわいい赤子がほしいだ!」 「そうか、赤子がほしいか。 山姥よ、ここでおまいりをし、このどうくつをくぐれば、赤子がほしいという、 おまえのねがいがかなえられることはわかっているな」 「はい、わかっていますだ、かみさま」 「そうさなあ、その体ではどうくつをくぐれないだろう。 ねがいをかなえるには、このあながくぐれるくらいに、 おまえの体が小さくなるのだが、 それでも赤子がほしいのかな」 「はい、どうしても、どうしても赤子がほしいだ! なんとかおねがいしますだ、かみさま!」と、 山姥は大きな体をちぢめるようにして、つよくおねがいしたんだと。 山姥のつよいねがいをしった、かみさまは、こういったそうな。 「それでは、これからも、日にいちど、 それも、まい日、おまいりにくることをやくそくしなさい。 そうすれば、きっと体が小さくなり、どうくつがくぐれるようになり、 ねがいがかなうだろう」 「はい! ありがとうございますだ、かみさま!」 元気よくへんじをした山姥は、さっそく、つぎの日から、まい日かかさず、 おく山から里(さと)へ出ては、おねがいしたのだが、 六日たっても、七日たっても、体にはなんのへんかも見えなかったそうな。 八日目のあさのことだった。 「うーん、肩(かた)がつかえるうー!」 山姥は、ためしにどうくつに体を入れてみたんだが、 すぐにつかえてしまった。それどころか、体がぬけなくなってしまった。 外に出ているからだをぶるぶるふるわせて、 なんとか、どうくつの岩にはさまれた体をぬいた山姥は、 頭からながれるあせを、手でふきながら、よーく考えてみた。 「いぜんは、頭も入らなかったはず。 そうだ、少しずつ小さくなっているだ。もうすこし、がんばってみるだ」 山姥(やまんば)は、それからもまいにちかかさず、 小さなほこらのある村のはずれにやってきてはの、 おねがいをついづけたそうな。 そして、ひと月もたったある日、 山姥は、ついにどうくつをくぐれるほど小さくなったんだと。 「おーら、わしもこのどうくつがくぐれただ! これで、わしにも赤子がさずかるだ! 赤子がさずかるだ!」 山姥は、うれしさのあまり、りょう手を上へあげておどりだしてしまった。 そしてその日は、なんども、なんども、どうくつをくぐっては、 ほこらの前で「赤子が、さずかりますように!」と、おねがいしたそうな。 「一日に一どだけ」という、かみさまのいいつけなど、わすれていた。 そして、すっかりつかれてしまった山姥は、 ほこらのわきでいねむりをしてしまった。 そこへ、村のよめっこがひとり、赤子をさずかりたいと、 おねがいにやってきたそうな。 どうくつをくぐり、ほこらの前でおいのりをしていると、 そばのしげみの中から、赤子(あかご)のなき声がきこえてきた。 「ほー、かみさまのごりやくは大いしたもんだ」 よろこんだよめっこは、ちょっと体のよごれた、 女の子をだいて村へかえったんだそうな。 日になんども、おねがいをした山姥(やまんば)は、 ねこんでいるうちに、小さな赤子になってしまっただな。 よめっこは家にかえると、ほこらのまえのできごとをかぞくに話し、 そだてることにした。 「わしのうんだ子ではないが、かみさまからさずかった赤子だから、 大切にせねばならないな。それにしても、ずいぶん、よごれた赤子だなあ」 と、よめっこはそういって、さっそくお湯(ゆ)にいれたんだと。 お湯の中の赤子は、いくらあらっても色は白くはならなかったと。 それに、あまりきりょうよしではなかったけれど、 くろ目が大きくての、元気な子だったあ。 よめっこは、すこしでも色が白い、きりょうよしのむすめっこになってほしいと、 まいにち湯に入れたそうな。 ところが、赤子はお湯がきらいでなあ、 よめっこが体をふくたびに、おく山までとどくような、 それは、それは大きな声でないたと。 そして、なくたびに大きくなると思えるほど、じょうぶにそだったそうな。 それからのち、この山おくに山姥のすがたは見えなくなり、 いつしか、このほこらのあったところを、 産湯峠(うぶゆとうげ)とよぶようになったと。 元気にそだった赤子は、はたらきもの大きなむすめっこになっての、 よめにもいったけれど、おしりが大きくて、 どうしても、あのどうくつだけはくぐれなかったと。 でもの、子にはめぐまれたそうな! めでたし、めでたし! <和歌山県日高町産湯峠(うぶゆとうげ) 1/50,000地形図田辺13号「御坊」 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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民話風のお話し、楽しませていただきました。 |
魔女 2008/09/10 11:04 |
お読みいただき、ありがとうございます。 |
地図豆のやまちゃん 2008/09/11 09:15 |
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